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"自分の体に合ったスーツ"を作るため抑えておきたいポイント!
~オーダースーツは"どこで作る”が最重要~
学生時代ラグビーに勤しんでいた私がスーツを着るようになった時の一番の悩み、それは「サイズ感と耐久性」でした。
まず既製スーツは体に合いません。
胸廻りや尻廻りに合わせると他の部分がぶかぶかで不格好に、かといって細い部分に合わせると筋肉の付いている場所や動きの中で負荷がかかる場所にダメージが蓄積され、破れたりほつれたりしてしまう、、
お仕事柄外回りなどで運動量が多い方やスポーツなどをやっていて体格の良い方など、一度は同じご経験があるのではないでしょうか。
でもやはりスーツはカッコよく着こなしたい!
一番の問題はやはり「体に合っていないこと」ですので、オーダーでスーツを作ることで解消できる部分は多くあります。
しかしいくらオーダーでも、必ずしも最も自分の体に合っていてトラブルも無くずっと着用し続けることができるか、と言われれば一概にそうとは言えません。
「サイズ感と耐久性」、言い換えると「スタイルが良く見え、且、動けるスーツ」を実現するためには押さえておきたい二つのポイントがあります。
体に合ったスーツを作るポイント・その一「生地選び」
一つ目は、「生地選び」=「スーツを作る生地の特性を押さえる」ということです。
まず生地に耐久性を求める場合、軽い重量でとろける肌触りや濡れているような光沢感を放つ所謂高級生地は、極細の原毛が用いられていることが多く、それらは決して耐久性が高いとはいえないので選びづらくなります。
しかし、素材として太い番手の糸が使われたものや、ポリエステルなどの化学繊維でできたものなどを選ぶと、耐久性や扱いやすさには特化している反面、柔らかい肌触りや滑らかな光沢感などの高級感は失われてしまいます。
でもせっかくオーダーで生地選びをしてスーツを作るなら、着用した時にご自身や周りの方からも「良いスーツだな」と感じるようなものがいいですよね。
耐久性と着心地や見た目を両立するには、ウールベースに伸縮素材の入った生地、ジャージー素材や通気性・撥水性がありダメージが蓄積されづらいウール生地・秋冬であれば密度が高くある程度の重さのある生地などをお選びになられると、柔らかい肌触りや光沢感を味わいつつ、スーツ着用時に運動量の多い方・特段体格の良い方などでも比較的永くご着用いただけるかと思います。
体に合ったスーツを作るポイント・その二「お店選び」
そして二つ目のポイントが今回のメインテーマとなる、スーツをオーダーする「お店選び」。
結論から言うと、「フィッターや縫製の技術と理解のあるお店」を選ぶということが大事です。
一括りにオーダーといっても千差万別のお客様の体型に合わせたスーツを作るには、サイズを測るフィッターや、仕立てをする縫製の高度な技術や理解が不可欠になってきます。
特に筋肉や脂肪で体の大きな方、強いクセのある体型の方は尚更です。
世の中に沢山あるオーダースーツのお店にはそれぞれ出来ることと出来ないことがあるので、お店選びは重要な要素となってくるでしょう。
今回はHand someでのオーダーをお話しますのでご参考にしていただければ幸いです。
Hand someが大切にする「程よいゆとり」
まずHand someでのオーダーは、「サイズ感=お客様の体型に合ったスタイルが良く見える仕立て」と「耐久性=動きの中で負荷のかかりずらいスーツ」はイコールであると考えています。
フィッターである私自身が、自分のようなスポーツ体型でも如何に体にフィットしスタイルのよく見えるスーツを作れるかを追求してきた中で、「程よいゆとり」がその両方を解決してくれました。
オーダースーツを始める以前は、とにかく細いシルエットを着ればスタイルが良く見えると思い込んでおりましたが、必要以上に絞ったシルエットはむしろ体のラインを強調してしまい、コンプレックスに思っていた箇所がより顕著に現れてしまいます。
そして当然そんなスーツは着心地が悪く、少し動くと生地に圧力がかかり、数回着ただけで破れやほつれの原因となります。
しかし「程よいゆとり」はむしろ体のラインを無理なく綺麗に見せることでスタイルが良く見え、動きやすく負荷がかかりずらい為、比例して破れやほつれの可能性を減少できます。
この「程よいゆとり」を作り上げるために必要なのが、「フィッターと縫製の技術と理解」なのです。
私がどれだけこれを理解した上でフィッティングを行い、細かな数値の調整や補正をスーツに落とし込んでも、それを再現できる縫製の技術や理解がなければ意味がありません。
もちろん逆も然りです。
ではHand someでは「程よいゆとり」を施したスーツをどのように完成させていくのかについてお話致します。
「程よいゆとり」を再現するために
まず最初に重要となってくるのはお客様からのヒアリングです。
お客様はスーツをどのように着こなしたいのか、どんな場面で着用するのかなど、それらによって同じお客様でも「程よいゆとり」は形を変えます。
生地選びなどももちろんですが、Hand someではお客様からのそういったヒアリングも「サイズ感」を決めていく大事な要素となってきます。
その上で採寸に移ります。
数十箇所のヌード寸法をメジャーでお測りした後、お客様のサイズに合ったゲージ服をご着用いただきます。
こちらは更に細かい採寸をしていくために着ていただくものですが、お客様にとっても視覚的に大まかな仕上がりの想像がし易いので安心感があるかと思います。
そして実際に出来上がるスーツの実寸を決めていくのですが、ここまではオーダーと名の付くお店であればどこも同じかと思います。
Hand someの「フィッターや縫製の技術と理解」が発揮されるのはここからです。
Hand someにおける理想のパンツ
まずはパンツの採寸から始めます。
Hand someにおいて「スタイルが良く見えるパンツ」の条件は、前後のクリースラインが始まりから裾にかけて真っ直ぐ綺麗に落ちていること。
それを再現するために、大きく分けてパンツは、ウエスト・ヒップ・ワタリ(太もも)・膝・裾の5つから判別していきます。
しかし人間の体には千差万別の特徴やクセがあり、単にそれぞれの部位のサイズを調整していくだけでは「スタイルが良く見えるパンツ」は完成しません。
それが既製服がなかなか適合しない理由です。
そこで肝になってくるのが「体型補正」。
例えば、お尻が平面の方・普段の姿勢が前腰の方・前後の股上に差がある方・O脚の方・コムラが張っている方など、人それぞれにその特徴や具合が存在しています。
私の場合はさほど太くはないウエストや膝下に比べ、お尻・太ももが発達しており、既製はもちろん簡易的なオーダーでは美しいシルエットはなかなか表現できませんでした。
おそらくこれはラガーマンあるあるです(笑)
「程よいゆとり」を導き理想の一着を完成するには、体型補正を駆使し洋服の限界までパーソナルに合った調整が必要なのです。
これらをウエスト・ヒップ・ワタリ・膝・裾のバランスを多面的に見た上でお客様にもイメージしていただけるようにミリ単位で調整し針を刺し、対話を続けながら実際の仕上がりを具現化していきます。
この「体型補正」が上記で申し上げた、「お店によって出来ることと出来ないこと」の大きな要素の一つで、「フィッターや縫製の技術と理解」が不可欠だと考えています。
そうして仕上がるパンツは、歩く・座るなどの動きの中で負荷がかかりずらく、結果として前後のクリースラインが綺麗な「スタイルが良く見えるサイズ感」を再現しつつ、「耐久性」も兼ね備えます。
Hand someにおける理想のジャケット
ジャケットの採寸に関しても考え方は同じです。
Hand someにおいて「スタイルが良く見えるジャケット」の条件は、ジャケット本来の正しい着方ができることです。
Hand someでの「正しい着方」とは、体に合ったジャケットであれば無理なシワが出たり体に沿わない見た目にならず、本来のジャケットのシルエットやデザインが損なわれることなく着用できるもの、という考え方です。
イメージとしては、ハンガーにかかっている状態の見た目と同様に着用することができるという感じでしょうか。
特にパンツに比べてジャケットは、上半身の体の関節が多い分特徴やクセが多く存在するため、比例して補正箇所も多くなります。
バスト・ウエスト・ヒップを中心に、首・背中・肩・腕などの骨格や筋肉の付き方を加味した調整が必要です。
スポーツを長くやられていた方などは、そのスポーツの種類やポジションなどによっても筋肉の発達や体のクセが様々な形で存在し、到底既製服では合わないだろうなと私自身いつも感じています。
↑前から見ると肩の左右差が激しく、胸筋が発達しているため裾が拝み気味に
↑後ろから見ると肩・肩甲骨・背骨に左右差・歪みなどがあり、シワが生まれている
例えば、Hand someにご来店された元ラグビー選手の場合は、激しい衝撃から体を守るために、特に首・肩廻りの筋肉が発達していたり、タックルやスクラムの蓄積による体の左右差や骨自体が変形していたりするケースも少なくありません。
もちろんスポーツをやっていたかどうかに関わらず、多くの方が体の左右差や猫背・撫肩などの特徴をお持ちかと思います。
それらを無視して肩幅やバスト・ウエストに合わせただけのジャケットは、どこかに必ず無理が生まれ、「正しい着方」をすることは不可能です。
採寸時はパンツ同様に細かな体型補正を加味しつつ針を刺していくことで、お客様に変化を感じていただきながら「正しい着方のできる体に合ったジャケット」の完成を目指します。
理想を追求する「仮縫い」
さらにHand someではお客様も我々も双方が納得のいく「程よいゆとり」を配した「スタイルがよく見えて、負荷のかかりずらいスーツ」を追求するために、初回のお客様には「仮縫いフィッティング」を行っております。
「仮縫い」とは、本縫いを行う前にしつけ糸で縫い合わせた状態の洋服のことで、サイズの調整が可能な状態です。
それを本縫い前にお客様にご着用いただくことで、上記のような補正を施したスーツを実際にご体感いただけます。
最初の採寸時にはHand someで用意しているゲージ服でフィッティングを行いますが、仮縫いフィッティングの際は実際にお客様が選ばれた生地で出来たスーツをご着用いただいての調整になりますので、生地感やデザインを目に見える形で細かな修正を行うこともできますし、お客様としても完成前に調整ができる段階で試着できるというのは安心感もあるかと思います。
そしてフィッター・お客様、双方が納得のいく「理想の一着」ができあがるのです。
Hand someでは初回のお客様にはお代金は頂かずに仮縫いをお付けしております。
完成品の納期が本来より約1ヶ月程伸びてしまうというご不便をおかけしますが、お急ぎでない方は是非「フィッターや縫製の技術と理解」をとことん体感していただきたいです。
自分に合ったスーツを
それらを前提に、ポイントの一つ目でお話した「生地の特性」をスーツのオーダーに活かすことで、特殊な体型の方や洋服の摩耗が多い環境で働かれている方にも、「自分に合ったスーツ」が見つかるかと思います。
Hand someでは、「自分に合ったスーツ」は人生を豊かにしてくれると考えています。
本来スーツとは、姿勢が正され、自身に満ち、所作や着こなしから相手への敬意を表すことができるものだと考えているからです。
そのための納得のいく拘りのスーツは「どこで・誰と作るか」=「お店選び」で大きく違ってきます。
お客様のパーソナリティーに合ったスーツを是非Hand someでいかがでしょうか。
ビジネス・プライベートファッションなど、お洋服全般におけるご相談を承っております。ご興味、お悩み事ございましたらお気軽にお問い合わせください。
ご相談のみのご来店も喜んでお受けいたします。